『カイジ』の福本伸行と、『沈黙の艦隊』のかわぐちかいじという日本漫画界が誇る黄金タッグによる原作コミック『告白 コンフェッション』が、生田斗真、ヤン・イクチュンの日韓実力派俳優W主演で実写映画化され、5月31日(金)に全国公開となった。この初日には東京・TOHOシネマズ 日比谷で初日舞台挨拶が行われ、W主演を務めた生田斗真とヤン・イクチュン、ヒロイン役を務めた奈緒、監督の山下敦弘が登壇。そして、原作コミックの作画を担当したかわぐちかいじも最後に登壇し、主演2人に花束のプレゼントを渡すサプライズも。かわぐちから「すごい映画になった!」と称賛され、キャストや監督のうれしそうな笑顔が印象的な舞台挨拶となった。
この舞台挨拶の模様をお届けします!
本作は、事故死したとされた女性の慰霊登山に出かけて遭難した2人の親友のうち1人が、死を目前にして“事故の真相”を告白してしまったことで始まる究極のサスペンス。コロナ禍を挟んだこともあり、5年かかって出来上がった映画とのことで、登壇者たちは感慨もひとしおのようで、生田は「つらい撮影も、眠い撮影も、この日のために、こうやってみなさまにお届けするためにがんばってきたようなものなので、僕らのがんばりがこうやって報われる日が来ること、本当にうれしく思います」と観客に向かってさわやかな笑顔で話した。そしてMCの「つらくて眠い撮影だったんですか?」との質問に、生田から「つらくて眠くて、実は暑い撮影だったんですよ」と、雪山の遭難でふぶいていた極寒の画面からは想像できない驚きの感想が出ると、イクチュンから「しっかりしろ!(笑)」との日本語が思わず飛び出し、笑いを運んだ。
続けて、イクチュンは「僕自身は本当に撮影が楽しかったです。生田さんと一緒に撮影するシーンが多く、ずっと彼に矢を向けているような感じだったんですが、生田さんはその矢をしっかりと受け止めてくれて、生田さんからも僕のほうに矢を投げかけてくださったので、とても楽しく撮影ができました」とコメント。さらに「こんなに美しい奈緒さんに、あんなことしてすみませんでした」と、劇中のシーンに対して膝をつくように謝罪すると、奈緒は「しっかりしろ!(笑)」とイクチュンの先ほどの言葉で返し、また会場の笑いを誘った。
イクチュンとはそんなシーンだったにもかかわらず、奈緒はイクチュンの優しい一面を暴露。「本当にイクチュンさんは優しいです。私が首を絞められるシーンの時も、イクチュンさんが“この石が危ないですね”とか、“この木が危ない”と言って場所を整えてくださったり…」と、優しい人柄について触れた。
そしてMCの「撮影の中で、生田さんへの思いや、生田さんの新しい面を見つけたりとかはありましたか?」の質問に、イクチュンは「私の役は、とにかくエネルギーをたくさん発散するような役だったんです。それを生田さんは本当にしっかり受け止めてくださいました。あんなにしっかりと実感を持って受け止めてくださった俳優さんは初めてだなと思って、本当にカッコいい俳優さんだなと思いました。私が演技している時には本当に怖がっていて、あまりにもこれはビビりすぎてるんじゃないかっていうぐらい怖がっていらっしゃる時もありましたね」と答えつつ、「(日本語で)素晴らしい役者ですね!」と付け加えると、会場からも拍手が。
そして生田が「あれはね、マジでビビってます(笑)!でも本当にね、もう間近でのエネルギーが本当に素晴らしかったので、僕が準備をしなくても、勝手にイクチュンさんと一緒にお芝居をしてると、感情を引き上げてもらえるような感覚がすごくあったと思います」と返すと、「私も同じです」とイクチュン(笑)。
奈緒も「今回、過ごさせていただいた時間は長くはなかったんですけど、すごく濃密な時間でしたし、やっぱりさゆりが出てくるっていうところは、ハイライトのように、さゆりの人生の中でも大きな出来事としてパンって描かれるところが本当に短く使われるところだったので、さゆりという人物の印象を効果的に残せるのかっていうのは、私自身、ひとつ大きな役割をいただいたなと思ってたんですけど、それはもう生田さんとイクチュンさんがいて、監督の演出があって、何もしてないに等しいというぐらい、お三方に助けていただいて、2日間すごく楽しかったですね」と感想を伝えた。
そしてMCからの「もう1回観るとしたら、注目してもらうと面白いポイントは?」という質問には、山下監督が「細かいですけど、時計が何回か映ってるんですけど、2回目観た時に、“ああこの時間指してるんだ”っていうのが、ある時点から実は時計が動いてないっていう…。気付いてる人もたぶんいると思うんですけど、そういう遊びをちょっとしたりしてます」という監督ならではの小ネタを入れてチェックポイントを回答。
生田からは「イクチュンさんの足の傷が特殊メイクで、毎朝僕らよりも何時間も前に早く入って準備しているんですけど、特殊メイクもだんだん傷が広がってったりとか、血が流れていったり、細かいことをたくさんやってるので、そこも注目して観ていただけると、イクチュンさんが朝早く起きてたことが報われるかなと思います」、イクチュンからは「2回目観た時には、僕自身は自分の顔ばっかり観てた気がするんですけど、あまりにも不細工なので…(笑)」との回答も。そして奈緒が「2回目は結構クスっと笑えるところが多い気がしていて。1回目って結構怖いのかなって。こう、ヒリヒリするじゃないですか。でもわかって観ても、2回目は今度は浅井さん(生田役)の反応とか、“何なんだろう、この2人?”っていう、2人の中で生まれる間がすっごい面白いので、寝たふりとか、私、結構大爆笑したんです」と感想を伝えると、生田も「監督、その辺も狙って作ってましたよね?怖さと笑いの微妙なライン…」と反応。山下監督も「“ちょっとやりすぎかな?”ってとこも含めて、2回目、3回目観てくれる人が笑ってもらえるように、それはちょっと思ってましたね」と伝えると、イクチュンは「もともとあまりにも怖いと笑ってしまうものですよね。そんなケースって多い気がします。そういう時はこう、現実の中にいる感覚が薄れていくので笑うんだと思います」と言って、さらに「でも僕は映画の中でかわいくなかったですか?」とも(笑)。これには生田も「ハハハ、かわいい!かわいかったです(笑)」と反応し、笑いを交えながら、秘話なども飛び出し会話が弾んでいた。
原作のある作品ということで、生田は「特に僕が思ったのは、目の表現っていうか、漫画に描かれてる目ってすごく印象的で、瞳孔が開いてるような、ちょっと焦ったような目の表情っていうのを、なるべく漫画に近づけられないかなと思って研究したりしてましたね」と、役柄を演じる際の表情などを研究していたそう。
イクチュンは「もちろん原作があるのも知っていて観ていましたし、シナリオも読んでいたので、その両方を知った上で、“どうしたらまたさらに新しい認識を作ることができるだろうか”“観てくださる相手にもそういう新しい認識を感じてもらえるだろうか”ということがいちばん大事だと思っていました。なので、クレイジーなやつのように演技をしてみました」、奈緒も「結構、原作があって映像化する作品に参加する機会もあるんですけど、今回は原作でもさゆりが出てくるシーンがすごく少なくて、ヒントがすごく少ないんですけど、より少ないからこそ、さゆりがどういうふうにいたらいいのかなっていうのは、監督ともお話しましたけど、想像しやすいところもあったので、あとは監督が編集で本当に絶対に面白くしてくださるっていう信頼感の下、今回は原作の雰囲気を大切にしながら安心して臨めた現場でした」とコメントしていた。
イベントの最後に、映画の公開を祝して、サプライズで原作の作画担当・かわぐちかいじが登壇し、W主演の生田とイクチュンに花束を贈呈した。初日の上映を観客と一緒に観ていたというかわぐちからの「福本伸行さんの原作で、僕が作画を担当したんですけど、この漫画を観て、追い詰められた人間の狂気の話だろうという感想の人が多かったですが、今日映画を観てもらってわかると思いますが、決して狂気ではありません。狂気に至ればまだ楽なんですが、人間性のギリギリのところで狂気に至らない、人間性をギリギリで保った人間たちの話なんですね。だから観ててつらいんです。そこを生田さんとヤンさんが人間性ギリギリのところを上手く表現してもらってて、すごい映画になったと思いました。監督もすごい演出でした。ありがとうございました」という言葉に、監督・キャストはうれしそうな笑顔を見せた。
そして生田は「やっぱりこの作品を生み出した方に喜んでいただけるっていうのは、僕にとってうれしいことだと思います。そういうふうに言っていただけて、とても光栄です。ありがとうございます」と感謝の言葉を伝えた。
終始和やかな初日の舞台挨拶となり、上映後に監督やキャストから秘話などを聞いた観客からは、いろいろな話を聞くことができて満足そうな笑顔がこぼれていた。さらに観たばかりの作品を思い起こしていたに違いない。
本作はこの和やかさと反対側にあり、気まずさと恐怖、ピークを超えた時の人間の感情を表現した、ヒリヒリする映画である。人間性をギリギリで保った人間たちの話をW主演の生田斗真、ヤン・イクチュンが、役者対役者の演技のぶつかり合いで、熱量をお互いに大量に放出させて熱演していく。絶妙な演技から恐怖を感じ、そんな中からもクスっとした笑いも見つけてほしい、そんな映画である。ぜひ、映画館で観てほしい一作となっている。『告白 コンフェッション』は全国で上映中。
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原作:原作 福本伸行 作画 かわぐちかいじ『告白 コンフェッション』(講談社「ヤンマガKC」刊)
出演:生田斗真 ヤン・イクチュン ※W主演
奈緒
監督:山下敦弘
脚本:幸修司 高田亮
主題歌:「殺意vs殺意(共犯:生田斗真)」マキシマム ザ ホルモン
音楽:宅見将典
製作:映画『告白 コンフェッション』製作委員会
製作幹事:日本映画放送 NTTドコモ
制作プロダクション:ギークサイト
配給:ギャガ
(C)2024 福本伸行・かわぐちかいじ/講談社/『告白 コンフェッション』製作委員会
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