韓国出身の4人組ロックバンドCNBLUE(シーエヌブルー)が、12月1日神奈川県・横浜アリーナで『CNBLUE 2017 ARENA TOUR ~Starting Over~』を開催。
立ち見も出る盛況の中、本公演に詰めかけた約13,000人と併せて、6都市9公演で約100,000人を動員したツアーを完走した。
10月18日に日本6thアルバム『STAY GOLD』をリリースしスタートした本ツアーは、「常に今のこの瞬間が、昨日よりも輝いている」という意味を込めたというアルバムタイトルのように、ツアー1本ごとに確実な成長を見せ、このツアーファイナルでアルバム『STAY GOLD』が結実したような充実感あふれるライブとなった。
横浜アリーナでのライブは、実に2年半ぶり。
2011年にインディーズ最後のライブ、そしてメジャーデビュー曲「In My Head」を初披露した思い出の地であり、彼らのアリーナツアーのスタンダードともいえるセンターステージを初体験したのも横浜アリーナだった。
2011年のライブ同様、ファンの目の前の通路をゆっくり歩きながらステージに登場。
アルバム『STAY GOLD』の「This is」からスタートしたが、この日のボーカル、ヨンファはとにかく笑顔。歌うことが楽しくてしょうがない様子で4曲目の「Face to face」までイッキに歌いあげると、「今日はツアーファイナルだし、センターステージだし、みなさんの顔も全部見えるし、雰囲気もアツいし、僕のノドも今までで一番調子がいい。横浜アリーナは僕と同じ89年生まれだし、楽しくて、テンションがヤバいです。ファイナルだけど、終わりたくない。僕たちのすべてをみなさんに捧げます!今日は意気込みが違う!」と絶好調をアピール。
ドラムのミンヒョクも「俺もいつもと違う!テンションが上がるとテンポが速くなってヤバいけど、この気持ちで最後までいきたい」、ベースのジョンシンも、「今日が2017年のツアーファイナル。みなさんの記憶に残る日にしたい」と、メンバーたちも気合いが入る。
ツアー前から「今回のツアーはセットリストをガラリと変えて、ファンを驚かせたい」と言っていたが、最新アルバム『STAY GOLD』の楽曲を中心に、韓国曲、インディーズ時代の楽曲まで、新旧を織り交ぜた構成が目をひいた。「Mr.KIA(Know it All)」は、6年前のデビューアルバムの曲だが、ここから最新アルバム収録曲「Butterfly」までの流れを見ると、昔の楽曲も今の彼らが演奏すると2017年型となり、ぜんぜん古さを感じさせない。
「最近はロック・ダンス・ポップのスタイルの曲が多いけど、横浜アリーナのステージに立つと、ロックな気持ちが蘇ります。今回は、昔のロックもたくさん歌います。次のアルバムはまた、ロックでいきたい!」と、ヨンファの口から来年のアルバムの構想となるであろうロックへの原点回帰宣言が飛び出した「Get Away」からのパートでは、ジョンヒョンのギターソロが映える日本デビューの頃のストレートなロック曲や美しいロックバラードを展開したが、昔からのファンには懐かしく、新しいファンには「こんなハードな一面もあるのか」と思わせたのではないだろうか。
切なくドラマチックなバラード「Y,Why」では、「12月になるとこの曲を聴きたくなります。みなさんの1年をCNBLUEの曲が彩ることができれば幸せです」とジョンシンが言えば、ヨンファが「昔、この曲を歌っていたときは、大きな会場で歌いたかった。今、こうやって横浜アリーナで歌えて幸せ。この曲を歌うときは、ドキドキするんです。昔からずっと。きっと50歳になってもドキドキするんじゃないかな?その気持ちを忘れずにこれからも歌いたいです」と素直な気持ちをファンに伝える。
本編ラストのパートには「最近のスタイル」だというロック・ダンス・ポップの韓国活動曲を固める。
先ほどのロックパートから一転、ファンがコーラスを歌ったり、アップリフティングな楽曲で一体感とともに楽しさを生み出す。
「YOU’RE SO FINE」のラストでは、ヨンファが韓国語で「そんなにかわいかったっけ?」と楽曲タイトルをセリフで決めるチャーミングな一幕も。
体全体でノるロック、気持ちを高揚させるロック・ダンス・ポップ。幅広い音楽性が広い会場をひとつにする。
ライブの最後を締めくくる曲として作ったというアルバム『STAY GOLD』のリード曲「Starting Over」が最後に暖かな雰囲気で会場を包み込んだが、まさにこれまでの気持ちがこの「Starting Over」で昇華されたような満足感。
曲が終わったあとのアンコールの声が、いつものツアーより、そして本ツアーのほかの公演よりも一際力強かったのを感じた。
アンコールはファンへのアンセムともいえる「Glory Days」で幕開け。
大阪公演からファンがサビで手を左右に振り始めたというこの曲だが、「僕のアイディアじゃないんです。大阪で初めて見たときすごく感動して、歌い終わってからみなさんに何度もやってもらっちゃって(笑)」というヨンファが手に持っているアコースティックギターで伴奏をはじめると、横浜アリーナ全体が手を振りながら「Glory Days」のサビを大合唱。その光景を見てヨンファとジョンシンが「トリハダ!」と大喜び。ヨンファは「ありがとうございます。この瞬間を忘れません。死ぬまで覚えています」と感動を伝えた。
アンコール2~3曲目は、横浜アリーナ公演のためだけのサプライズとして、これまでの8公演で演奏していた「Wake Up」から「I’m Sorry」と「Radio」に変更。
ライブのテッパン曲「I’m Sorry」で加速がついたCNBLUEは、もう止まらない。「Radio」で広い会場がひとつになってコーラスを歌うと、ヨンファも満足気にサムズアップ。
「終わらない。ずっとやりたい! スタッフさんスミマセン。やりたいことやりたい! 僕のノド、本編より調子いい!」と、この盛り上がりにたまらず取りやめにしていた「Wake Up」もメンバーたちの判断で急きょ披露。
ファンとの掛け合いや、ヨンファとジョンヒョンのギターの掛け合いなど、まさに音を楽しむ雰囲気で1曲に15分以上も費やし、熱狂を巻き起こした。
「今回のツアー、本当にみなさんにアツい気持ちをもらいました。もらったアツい気持ちを返したいです。久しぶりの横浜アリーナ、久しぶりのセンターステージ、久しぶりの曲をずっとそばにいてくれるみなさんと歌って……。
ほかの単語を知らないけど、これだけ……、幸せです! ツアーの最後に感じたのは、僕たちとみなさんが仲が良いってこと。これからも僕たちはみなさんを信じて、みなさんは僕たちの曲とライブを信じて、ずっと一緒に行きましょう。
今年、僕たちはレベルアップ出来た。来年は、今年より頑張ります」と自分の言葉で気持ちを伝えるヨンファ。
ジョンヒョンも「今までは僕たちが頑張っていいライブを作って、みなさんにいい思い出を作ってあげたいと思っていました。でも最近は逆に、みなさんに力をもらってる。みなさんがいるから頑張れるんです」と伝えると、「それにしても最近、ヨンファさん、日本語が上手くなりましたよね」と饒舌なヨンファにツッコむ。
ヨンファも「みなさんのために勉強しました。お酒もやめたし、体調管理もして。全部みなさんのため、ライブのため。みなさんも体調管理して、ずっとアツいライブを作りましょう!
みなさんと僕たちのちの本を作りました。1日1ページの本だけど、今日が最後のページじゃない。ずっと一緒だから、最後のページはありません。ずっとそばにいてください。僕たちもいい曲、いいライブでみなさんのそばにいます。
約束します。今日も1ページを作ってくれて、ありがとう。もっと大きくなりましょう。本当に幸せでした」とラストの「BOOK」を歌った。
ジョンヒョンが言ったとおり、今回のライブではいつも以上にヨンファが饒舌に語っていたのも印象的だった。自分の気持ちを自分の知っている単語の中から探して一生懸命伝えてくれるヨンファ。
とくにこの日は「幸せ」という言葉をよく使っていたが、リアルな気持ちを率直に伝えてくれるその言葉は、胸に刺さる。
音楽だけではなく、彼らの人間性がライブににじみ出るのもCNBLUEならではだ。
2017年最後の単独コンサートは幸福感に満ちたライブとなったが、この年末、彼らにはまだライブが残っている。12月20~21日にはパシフィコ横浜で、ヨンファのソロコンサート『JUNG YONG HWA JAPAN CONCERT 2017 Summer Calling @Xmas』が、そして12月16~17日には幕張メッセで所属事務所FNC Entertainmentのアーティストが一同に介する音楽の祭典『2017 FNC KINGDOM IN JAPAN -MIDNIGHT CIRCUS-』が行われる。『KINGDOM』では、CNBLUEとしてのライブだけでなく、他グループのアーティストとのスペシャルコラボなども予定されているという。
また、年明けの1月24日には、ジョンヒョンの2nd SOLO ALBUM『METROPOLIS』のリリースと、2月に神奈川・大阪での『LEE JONG HYUN Solo Concert in Japan -METROPOLIS-』も決定している。
本ライブで「ロック回帰宣言」をしたCNBLUE。来年のアルバムが早くも楽しみだ。
文:坂本ゆかり
撮影:田中聖太郎