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2024年7月9日20時32分 火曜日 【オフィシャルインタビュー】『このろくでもない世界で』ソン・ジュンギ オフィシャルインタビュー

第76回カンヌ国際映画祭&第28回釜山国際映画祭に公式出品され、百想芸術大賞で4部門ノミネート、見事キム・ヒョンソが<新人演技賞>に輝いた話題の韓国映画『ファラン(原題/オランダを意味する)』『HOPELESS(英題)』が『このろくでもない世界で』の邦題で、7月26日(金)よりTOHOシネマズ シャンテほかにて全国公開となります。
この度、ソン・ジュンギのオフィシャルインタビューが到着しました。

【オフィシャルインタビュー】『このろくでもない世界で』ソン・ジュンギ

色白の子供のように澄んだ表情の裏に一歩暗い気運が通り過ぎる。俳優ソン・ジュンギは生まれつきの美少年の顔でスクリーンを駆け回ってきたが、ただ明るいだけのことはなかった。彼の明るさは純粋と無知ではなく情況を全て知っている、むしろあまりにも多くの知り過ぎている人間の苦味を感じさせる。そのような意味でドラマ「ヴィンチェンツォ」(21)や「財閥家の末息子」(22)で多少冷たくてシリアスな側面を披露したのは、もしかしたら自然な歩みのように見える。『このろくでもない世界で』(23)は俳優ソン・ジュンギの最も重くて暗鬱な映画として記憶される作品だ。本作で彼が演じたチゴンは欲望さえ乾いてしまった、空っぽの人物だ。ソン・ジュンギはそのひどい虚無を表現してみたいという、俳優としての強烈な熱望で今回の作品を選んだ。魂まで沈む闇を渇望する俳優の瞳は、皮肉にもきらめいている。

―初めてカンヌのレッドカーペットを踏んだ。
皆こういう時「光栄で実感がわかないし緊張する」と言っていたが、そのようなありきたりな表現をなぜしてしまうのかがわかった。その言葉通りの心境だ。カンヌに出品すると言った時、「そうなのか」と意識もしなかった。正直「まさかカンヌに行けるの?」と考えていた。2月初めからハンガリーのブダペストで「ロ・ギワン」(24)を撮っていたが、撮影の真っ最中にカンヌの招待を受けたという話を聞いた。『このろくでもない世界で(仮題)』で来られてとても感謝してやりがいを感じる。本当に苦労して撮影した、意味のある作品なので大きなプレゼントをもらった気分だ。特に未来の巨匠を紹介する、ある視点部門に招待されてとても嬉しい。カンヌで初めて観たくて、まだ試写を観ていない。

―『このろくでもない世界で』に出演を決めたポイントは?
知人と話していて別作品の提案を受けて、慎重に断ったことがあった。「じゃあ、あなたはどんな映画をやってみたいか」と尋ねられて、本当に深くて暗い映画をやってみたいと話した。すると「主人公ではないけれど」と言いながら渡されたのが『このろくでもない世界で』だった。最初のバージョンの脚本は本当に疲弊していた。このシナリオを書いた人は本当に大人に対する期待と希望がないな、という気がし、どんな人がこのような脚本を書いたのかが気になったのが始まりだった。改めて振り返ってみると何かを欲していたところ、ちょうどやりたい役が来て、それを掴み取ったという感じです。

―「釣られる」というのが映画でも重要な行動の一つであるだけに過程も尋常ではない。そのように会った監督の第一印象はどうだったか。
会うやいなや、「どれほど大変な人生を生きてきたのか」と尋ねた。(笑)幸い監督本人の経験談ではないと聞いて安心した。不思議なことに、劇中の登場人物の姿を少しずつ持っている方だった。揺れ続けるヨンギュ(ホン・サビン)のようでも、腹違いの妹であるハヤン(キム・ヒョンソ)のような面もあり、本人の中の様々な姿を繊細に引き出すことができる監督だという印象だった。

―チゴンはどんな人物なのか。
表面的には地元の犯罪組織のリーダーだ。偶然ヨンギュをみかけて、自分の幼い頃を思い出し、まるで鏡を見ているような気持ちにとらわれ、関わり始める。問題は、それがヨンギュに役にほんとうに役に立つのか分からないということだ。撮影しながらも、この部分を悩みながら撮った。チゴンは欲望が去勢されてしまったように何も望むことがない人だ。ただ生きながらえているから生きている人。

―劇中でも「生きている死体」という表現が出てくる。
そうだ。生きることに虚しさを抱えており、万事無気力だ。命令された仕事だけを遂行する機械のようというか。ヨンギュはチゴンに会って変わるが、チゴンもヨンギュに会って変わる。そのような点をどのように表現するか、監督と多くの話を交わした。結局、答えはシナリオにあったよ。シナリオにあることをできるだけ忠実に表現しようと努力した。

―善意に基づいた行動が最悪の結果につながる過程がこの映画の魅力のようだ。チゴンにとって本当に気になった質問は「なぜ最後まで町を離れないのか」だ。ある程度力も、お金もあるだけに離れられない状況でもないようだが…。
現場で監督やホン・サビンと最も激しく話を交わした部分がまさにその質問だった。チゴンとヨンギュの最大の違いは希望の有無だ。ヨンギュは「ファラン」(原題。韓国語でオランダ)に漠然とした希望を抱く。それがたとえ誤った情報、存在しない理想郷でも構わない。故郷を脱出してそこに行きたいという気持ちを抱くことが重要だ。一方、チゴンはすでに終わった人だ。すり減って、どこかに旅立ちたいという欲望などもうない人。ヨンギュが故郷を離れることをあきらめたなら、チゴンのようになるのではないかと思う。うんざりする場所に疲れはて、いまや去る勇気も出せない人物だ。だから最後に最も卑怯な形の脱出を試みるのかもしれない。ある意味、非常に自虐的で変態的な人物でもある。どれだけリアルなのか、理解できるのかとは少し違うと感じた。むしろ「映画的」なアプローチだと思う。

―チゴンは貯水池に閉じ込められた、もしかしたらすでに死んだ魚のようだ。映画でも釣り場、釣り針、魚チゲなどの象徴的な物が繰り返し登場する。
ヨンギュと魚のチゲを食べる場面があるが、ヨンギュとチゴンが共感を形成する重要な瞬間だ。夜中の2時頃から一晩中チゲを食べたが、終わる頃には生臭いにおいがした。(笑)苦労した分、場面がよく撮れたようでやりがいがあった。

―ホラー映画の現場は和気あいあいとしているという話がある。『このろくでもない世界で』は床にくっつきそうなほど重くて暗い映画だが、現場の雰囲気はどうだったのか。
熾烈ながらも平穏だった。台風の真ん中が静かなように。皆簡単ではない環境で最善を尽くしたが、その一方で撮る時は不安感がなかった。キム・チャンフン監督と主演のホン・サビンはいずれも新人なので、バランスを取らなければならないという責任感が少なくなかったが、得るものがはるかに多い現場だった。むしろ私自身にとって息を吸えるようになるための穴を開けてくれた映画だったというか、現場で癒されることが多かった。商業映画を撮影する時に感じた渇きを解消する時間でもあった。本当に良い映画を作りたいという気持ち、映画らしい映画が作られているという確信ができた。責任を感じる部分があれば、このように完成された映画が最大限多くの方々に紹介されてほしい。プロモーションのためにどこへでも行くつもりだ。釣り雑誌とか釣りの番組に出るべきかな?(笑)

―とても満足のいく撮影だったようだ。
満足度を点数であげるとしたら93点くらい?内心、心の中の点数は90点にやや及ばない89点だったが、このようにカンヌまで来たから4点追加!(笑)俳優にとって最高のプレゼントは良い作品に出会うことだという当然の事実を改めて実感した作品だ。このようにカンヌで観客と会うことまで、すべての瞬間がありがたい。

『このろくでもない世界で』
<STORY>
継父のDVに怯える18歳のヨンギュ(ホン・サビン)は、義理の妹ハヤン(キム・ヒョンソ)を守るために暴力沙汰を起こして高校を停学、その上、示談金を求められる。生き抜く術のないヨンギュは、地元の犯罪組織のリーダー、チゴン(ソン・ジュンギ)の門戸を叩くほかなかった。仕事という名の“盗み”を働き、徐々に憧れのチゴンに認められていくが、ある日、組織の非情な掟に背いてしまい……。
このろくでもない世界で、ほんの一瞬でも彼らに陽が注ぐことはあるのだろうか?

監督・脚本:キム・チャンフン(初長編監督作品)
出演:ホン・サビン、ソン・ジュンギ、キム・ヒョンソ(BIBI)
配給・宣伝:ハピネットファントム・スタジオ
公式HP:happinet-phantom.com/hopeless
X:@hopeless_movie
2023年/韓国/カラー/シネマスコープ/5.1ch/原題:화란/英題:HOPELESS/123分/字幕翻訳:本田恵子/R15+
(C) 2023 PLUS M ENTERTAINMENT, SANAI PICTURES, HiSTORY ALL RIGHTS RESERVED.
7月26日(金)TOHOシネマズ シャンテほか全国公開



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