韓国出身の7人組ボーイズグループMONSTA X(モンスタエックス)が、10月10日、大阪・大阪城ホールで、『2018 MONSTA X WORLD TOUR “THE CONNECT” IN JAPAN』ファイナルを迎えた。これは、5月26日のソウル公演を皮切りにスタートし、ヨーロッパ、東南アジア、アメリカ、中南米など20都市を廻ったMONSTA X 2度目のワールドツアーの日本公演で、10月5日からの千葉・幕張メッセ 幕張イベントホール3DAYSと併せて、2都市4公演で約3万人を動員した。
2017年5月に「HERO」で日本デビューを飾ったMONSTA X。今春には日本1stアルバム『PIECE』をリリースし、初の日本ツアー『MONSTA X, JAPAN 1st LIVE TOUR 2018』を開催した。日本ツアーでは、これまでリリースした日本語楽曲を中心に歌ったが、本公演はワールドツアーの日本公演ということで、海外公演と同じく、韓国最新ミニアルバム『THE CONNECT:DEJAVU』の楽曲を中心に、韓国語曲で構成されているのが特徴。日本語曲は9月12日にリリースされたばかりの日本オリジナル新曲「LIVIN’ IT UP」と、1月にリリースされた初の日本オリジナル曲「SPOTLIGHT」のみ。日本だけの特別なセットリストの貴重な公演は、日本初パフォーマンス曲満載、アンコール含め23曲、約3時間という大ボリュームで行われた。ここでは10月7日の幕張メッセ最終日の模様をレポートする。
大人っぽいセクシーさを醸す韓国最新活動曲「Jealousy」からライブはスタート。「Beautiful」では全員がジャケットを脱ぐパフォーマンス部分で、ジャケットを脱がずにミニョクがリボンタイをほどいてセクシーさを強調すると、歓声が湧きおこる。オープニングヒット曲の応酬で大きなファンコールが上がり、会場は一体感に包まれる。
柔らかなミドルバラード「Gravity」ではダンスを封印してじっくりと歌を聴かせると、メンバーたちが「MONBEBE(ファン)のグルーヴがハンパじゃない」という「Tropical Night」へ。ジュホンとI.Mの静かなラップから始まり、徐々にボーカルが盛り上がっていく「Crazy In Love」、そして激しいリズムとダンスの日本オリジナル曲「SPOTLIGHT」が前半のハイライトを飾った。
中盤の大きな見どころとなったのは、ユニットステージ。ウォノ、ミニョク、キヒョンのボーカル・ユニットは、ブレザーのスクールルックでウォノの自作曲「ノル ハダ」と「no reason」という音源化されていない2曲のオリジナル曲で、アイドルらしいキラキラでキュートなステージを展開。ヒョンウォンとI.Mは、ドレイクの「Fake Love」をカヴァーしたが、I.Mがラップパートを「僕たちの愛は本物だ」とMONBEBEのためにアレンジ。チャーリー・プースの「How long」では、ヒョンウォンの振付によるセクシーなダンスパフォーマンスを披露した。ショヌとジュホンはブルーノ・マーズの「Versace on the floor」をカヴァーしたが、ショヌのフェイクとラッパーのジュホンの本格的な歌声が聴けたのは貴重。『SLAM DUNK』の桜木花道の韓国語名をタイトルに冠した「カンベクホ」は、ラップが映えるジュホンの自作曲。力強い楽曲に乗せて、ショヌがパワフルなダンスで魅せた。両曲ともにダンスはショヌの振付というが、このユニットステージは、活動曲では見る事ができない各人のアーティスティックな面や、新たな一面が発見できるコーナーとなった。
ユニットステージの後は、ウォノの自作曲「From zero」へ突入。ショヌがミニョクにあごクイをするパフォーマンスで嬌声があがったが、MCで「僕にあごクイする時、胸キュンする?」とミニョクにきかれて、「最初はしたけど、今はしない。仕事ですから」とショヌがファンを笑わせると、1度目のワールドツアーでこの曲を歌ったウォノとヒョンウォンのオリジナルメンバーは、「ウォノさんが僕のあごを触る手の感触がいいんです。でも普段、筋トレばかりしてるから、ダンベルの匂いがします」というヒョンウォンの暴露で、さらに笑いを誘った。
アコースティックギターと共に始まる「Pure Love」ではセンターステージでファンに手をふり、「Roller Coaster」では、サインボールを客席に投げ入れてファンと遊ぶ。“MONBEBEバカ”を自称するMONSTA Xだけに、ライブ中のファンサービスは、最高だ。3階のすみずみにまで視線を合わせて手をふってくれる。ファンとの心の距離の近さも彼らの魅力だろう。
後半は、力強さとスタイリッシュさを持ち合わせた日本オリジナルの新曲「LIVIN’ IT UP」で幕開け。このワールドツアー日本公演が、「LIVIN’ IT UP」の初パフォーマンスとなった。ここからはもう、最後の狂乱へ。本編最後となったのは、彼らが初めて音楽番組で1位になった代表曲「DRAMARAMA」。ファンの熱とファンコールの大きさも最高潮に達し、ステージの上で歌うMONSTA Xと、客席でコールを送るMONBEBEの一体感がすさまじかった。
「MONSTA X!」というアンコールの声に迎え入れられると、Tシャツ姿で赤いタオルを持った7人が登場し、「Unfair Love」で再び楽しいムードに。メンバー各人の最後の挨拶を挟んで公演のラストを飾ったのは、ショヌからウォノ、そしてラッパー陣ふくめ次々にボーカルが移っていく「If Only」。ウォノの自作曲である本曲は失恋を題材にした曲だが、“別れたくない”という想いを込めた歌詞は、まさにMONBEBEとの惜別と重なった。
メンバー各人の最後の言葉は、以下の通り。
I.M:「皆さんが手に持つペンライトの光りを見ると、宇宙の中にいる気分になります。2015年5月14日に韓国でデビューしてからずっと、皆さんがくださる愛情を当然だと思ったことは一度もありません。ただMONBEBEのためのMONSTA Xになりたいと思います。言葉でうまく伝えるのは難しいのですが、僕の真心だけは伝わればと思います」
ジュホン:「(日本語で)このツアーをしながら、皆さんはどうしてMONSTA Xをこんなに熱心に愛してくれるんだろうということを考えました。それはお互いに思い合い、ファンの皆さんを心から愛する気持ちで歩いていく僕たちの情熱のためなのでは、と思いました。僕たちが信じて歩くその道の先の答えが、皆さんでした。僕たちはひとつです。こんなに強く引き合っているMONSTA XとMONBEBEを誰も引き離すことはできません。皆さんの胸が痛む時は僕が慰めます。悲しい時は僕が抱きしめてあげます。いつも支えます」
ミニョク:「(日本語で)僕のそばにいてくれて、本当に本当にありがとうございます。おとといは僕が好きな東方神起先輩の「忘れないで」の歌詞を、昨日は僕が歌う「忘れないで」を聴いてくれてありがとうございました。最近、“死ぬまで好き”という言葉が僕のマイブームです。この言葉を僕にずっとずっと言ってください。皆さん、死ぬまで好き!」
ショヌ:「今回、こうして幕張でアリーナ公演を行い、たくさんと愛情と感動をもらいました。皆さんの愛情に応えるショヌ、そしてMONSTA Xになります。本当にありがとうございます!」
ヒョンウォン:「3日間、本当に幸せでした。皆さんがいなかったら、こんな大きな会場で、3日間も公演できなかったと思います。昨日もおとといも、ホテルに戻って寝る時に、感謝して、幸せを感じました。大変なことがあっても、ライブ会場で皆さんを見るとすべて忘れて力が出ます。僕をこんな風にしてくれた皆さんに会えて、本当にうれしいです。皆さんが僕たちに割く時間が惜しくないと思えるように、音楽で応えていきたいと思います。愛しています」
キヒョン:「(日本語で)いつも僕たちMONSTA X 7人の力になってくれて、そばにいてくれて、ありがとうございます。MONBEBEの皆さんが僕たちに力をくれるように、僕たちもMONBEBEが疲れた時に力になりたいです。3日間、応援してくれてありがとうございます」
ウォノ:「2017年1月に、日本で初のショーケースを行いました。その時に“MONSTA X日本デビュー”という文字を見てたくさんのファンの方が泣いてくださいました。その姿を見て、本当に一生懸命やらなきゃと思いました。遠く離れていてなかなか会えない人たちがいる。だから、もっと多くの人に会えるように努力します。たくさんの人に会うには、もっと大きな会場でもっと良い姿をお見せするべきだけど、今日、大きい会場でライブすることだけが全てじゃないと感じました。こうやって、たくさんの方が来てくださって、皆さんの顔が近くで見られることが幸せなんです。今日のライブは忘れられないと思います」
なお前日、幕張2日目はジュホンの誕生日当日ということで、サプライズで誕生祝が行われたが、ここでもジュホンは「今日はとても大切な日、僕が生まれてきて良かったと感じさせてくれた日。MONBEBEは僕のすべて。生まれてきてくれて、ありがとうございます!」とファンに感謝を伝えた。
MONSTA Xといえば、強烈なヒップホップサウンドがパブリックイメージであったが、近年では「Jealousy」のようなセクシーな活動曲も増えてきた。また、メンバーたちも楽曲を手掛けるようになり、音楽の幅も広がってきている。パワフルな楽曲とパフォーマンスに、かわいらしさとセクシーさも加わり、トークでは仲の良いかけあいを見せる。剛柔併せ持っているのが彼らの強みだが、最大の魅力は、なんといってもMONBEBEに対する愛情だ。MONBEBEからの愛より、むしろMONSTA XからMONBEBEへの愛の方が大きい。ライブはまさに、MONSTA XからMONBEBEへの愛を体現できる場なのではないだろうか。
MONSTA Xの日本最新シングル「LIVIN’ IT UP」は、売上枚数10万枚を突破して、9月度の日本レコード協会ゴールドディスクに認定された。韓国に戻ると、10月22日に韓国2ndアルバム『ARE YOU THERE?』をリリースし、本国でも精力的に活動する予定。次はどんな姿を見せてくれるのか、楽しみだ。
文/坂本ゆかり
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