メッセージの後に、装いも新たに始まったのは、『僕は君のもの』。
今回のツアーでは、いつも歌の途中でファンが「♪나는 네 여자야(ナヌン ニ ヨジャヤ:私はあなたの女だ)」と歌う部分を、日本語で「♪愛してるよ~」と歌うルールになり、今日もファンが「♪愛してるよ~」と歌うと、「♪愛してるよ~」と丁寧に歌い返すヒョンジュン。最後は「愛してます。」と照れくさそうに伝えると、ここでまたトークタイムへ。
まずは、先ほどのVTRは、ファンのために色々なバージョンを考え、「みなさんが僕の声がたくさん聞けたほうが喜ぶと思って」収録した、渾身のVTRだったことを説明した上で、VTRの途中で、会場から笑いが起こったことに対する疑問を投げかけるヒョンジュン。
「僕、日本語がつたないですよね。どの部分で笑えるのかがすごく気になります。準備している時には、すごく感動的だな、と思っていたんです。でも実際に公演がスタートして、ちょっと笑えるんじゃないかと思うようになりました。笑うタイミング、どこですか?」とファンに質問すると、ファンからの返答で、“つ”の発音が原因だったことを知り、「あー!」と納得。「伝えます!」ときれいに発音してみせ、会場からの拍手にうれしそうな表情を浮かべつつも、「練習をしている時には、やはり何でもうまくいくんですよね。でも実践になるとなかなかうまくできないものです。」と悔しさが残っている様子。
さらに「だからこそ、200パーセント練習すれば、本当のステージの時に100%になるという言葉があります。日本にもそういう言葉がありますか?ないみたいですね。」と続けて、会場の笑いを誘った。
それでもまだ悔しさが晴れないのか、「伝えます。伝えます。」とその場で何度も練習して、「いつか(もう)1度、僕の声でナレーションを読まないといけないですね。(間違った発音の)“つ”じゃなくて(正しい発音の)“つ”で。」と言ったのだが、会場のファンの反応に、「ちょっとあの方が、僕の悪口を言ったみたいなんですけど。(最初の“つ”もあとの“つ”も)たいして変わらない、みたいな。誰とは言いません。その方のために歌います、『ありがとう』。」と絶妙なオチをつけ次の曲『ありがとう』へ。
面白いスタートになってしまったが、歌はいじめると、ヒョンジュンのファンに対する日頃の感謝の気持ちがよく伝わってきた。
ここでまた、リダワールドに突入。
「どうですか?座ってると楽ですか?」と始まり、「2階にいらっしゃるみなさんも僕が見えますよね?」と2階のファンにも声を掛けると、「(ペンライトを)振らないでください。怖いです。」という思いがけない言葉に会場も大爆笑。
ヒョンジュンから見ると「大丈夫です!」と言いながらペンライトを振っている姿は、体調と体の動きがマッチしてないような感じに見えるそう。ある人は、悲しい歌を聴いて泣いているのに「大丈夫です。」とペンライトを振りながら言うので、本当に泣いているのか、演技で泣いているのか、ちょっと疑問に感じるのだそう。
さらにヒョンジュン、“ペンライト”という言葉をど忘れしてしまったらしく、「これなんでしたっけ?」と会場に質問。「ペンライト!英語なのであまりよく覚えられません。日本語で何て言うんですか?“ペンライト”?それは英語ですね。“ライターペン”?知ってますよ、ライターじゃないってことは。僕がライトとライターの区別もできないと思っていますね。この前にいらっしゃる方のおかげで、“ペンライト”は絶対に忘れそうにありません。」とここでもきれいにオチをつけると、次の曲『今でも』へ。
客席をまっすぐ見つめ、「♪忘れられない」と歌う姿が印象的だった。
ここでは、元々は「次の曲は『Wake me up』です。」と言ってスタートしようと思っていたというヒョンジュンだったが、バンドのキーボードの方が、素敵なBGMを弾いてくれるので、「話すこともないのに話してしまいます。ファンのみなさんとたくさん話してくださいという意味で弾いて下さってるんですよね。」と言って、しばしトークタイム。
「このくらいの時間になると、みなさん僕について気になることがありますかね?ないかもしれないですけど、何かちょっと作り出して聞いてください。」と言って、急遽質問を受け付けると、会場から選ばれた質問者に名前を尋ねたのだが、「りんりん」という答えに、「日本語ですか?仮名を使ってるですか?」と戸惑うヒョンジュン。
「りんりん?り・ん・り・ん?」と指で宙に平仮名を書きながら確認し、やっと名前が判明すると、「新しいアルバムはいつ出るんですか?」という質問に答えていく。
「座って話しますね、辛いので。座ることは考えていなかったんですけど、(DVDは)編集すればいいですからね。」と一笑い取ってから、「今まで色んな曲を発表してきて、『Your Story』『今でも』『風車<re:wind>』に至るまでにだんだんキム・ヒョンジュンの音楽のカラーを見つけてきました。そのプロセスで僕自身がどんどん発展して努力をしてきたと思います。でも正直言うと今回のニューシングルの時にたくさんのことを感じ、もう少しシンプルに音楽をしたいと思ったんです。あまりにもたくさんのものを見せようとして、これ以上作れないんじゃないかという思いになりました。
なので、次のアルバムは、新しい構想を練っています。シンプルでありながら聴き心地がいい音楽、童謡を歌おうかな。冗談です(笑)。とにかく次のアルバムは今年中にみなさんに発表したいと考えているんですが、なかなか思い通りにいかないですね。1日も早くアルバムが完成するように、みなさんが僕にいいインスピレーションを下さったらうれしいです。」と正直な気持ちを伝えた。
ここからは『Wake me up』『Stay here』と続けて新曲を披露。スクリーンに映し出された“真摯なキム・ヒョンジュンのメッセージ”が込められているという歌詞は胸を打つもので、ファンも聴き入っていた。
続くVTRでは、ツアーのリハーサル、初日にタイムカプセルを開けた時やお見送り会の様子などが披露された。中にはヒョンジュンが自身のキャラクター“U:ZOOSIN”を描いている場面もあったりと、目が離せない内容となっていた。
ライブ終盤に向け、再びロックテイストに衣装チェンジしたヒョンジュンが登場すると、会場も再びスタンディングとなり、『TIMING』で熱い声援を送る。
そして勢いに乗ったヒョンジュンは、会場を4つのエリアに分け、ドラムのビートに合わせて「Hey!Hey!Hey!Hey!」とファンの声援を確認すると、そのまま『HOT SUN』へ突入。そしてこちらも掛け声で盛り上がる曲、『B.I.N.G.O』で畳みかける。
熱い応援を送り続けるHENECIAに大満足の笑顔を見せるヒョンジュンは、「いいですね。まだエネルギー残ってますよね?エネルギーが残ってるのに声がこのくらいしか出ないんですか?ではこの曲でみなさんのすべての力を出しきってほしいと思います。」と会場を煽り『HEAT』へ。ヒョンジュンの曲の中でも誰もが口ずさめる曲No.1と言っても過言ではない曲だけに、花火の合図とともに会場は大合唱となった。
会場の反応にご機嫌のヒョンジュンは「今日はみなさん十分に資格があります。どんな資格かというと、今日ちょっと準備したことがあるんです。」と思わせぶりに話し始めたのだが、なぜか笑いが止まらなくなる事態に。
「急に面白いことを思い出してしまって、みなさんは理解できないと思います。たいしたことないです。絶対にDVDには入れられないことです。子供の頃に観ていたシットコムがあるんですが、それをちょっと急に思い出しました。本当にいきなりですよね。脳がちょっとおかしくなったみたいです。」と言ってさらに大爆笑(笑)。
気を取り直して「いつのまにかこんな時間になりましたよね。みなさんと今日はたくさん笑って楽しんだ気がします。僕の心の中で言いたかった話もできましたし、みなさんと十分楽しめたと思います。もう思い出せないくらい本当に楽しかったです。」と本当にうれしそうに伝えると、さらに「今日のアンコールは2バージョン準備しています。本当にみなさん次第なんですが、DVD用のアンコールがあり、DVD用ではないアンコールもあります。」とうれしいコメント。
「どちらがいいですか?」と聞かれると、もちろん会場は全員一致で「両方!」と答え、「大変なことになりましたね。事務所が聞いたらもう泣いてしまうくらいのことですね。」とヒョンジュン。「(両方は)無理ですよね。」と言うと、会場からはヒョンジュンが懸念していた(笑)ブーイングが起こり、動揺したのか、「少し韓国語を忘れてしまったんですけど、(どちらになるかは)みなさんにかかっています。大変なことになってしまいました。韓国語もできないし、日本語もできなくて。静かに黙って生きていかないといけないですね。」と言って笑いを誘うと、「アンコールの話が出るということは、この公演も最後を迎えるということですよね。」と続け、またしても会場からは「えーーー!」の声。「正確に2秒後にこの(「えーーー!」という)声が出ますよね。感情にもない(笑)、感情はありますね。時々半自動的に言っている方もいらっしゃるんですよね。本当に寂しくて言っている方は、顔を左右に振りながら、「えーーー!」と言うんです。でも何の感情もない人は、(ペンライトを振るポーズをしながら)「えーーー!」。全部見えます。言いたくなければ言わなくてもいいですよ(笑)。とにかく“INNER CORE”ツアーも半分が終わろうとしています。今日を起点として、また新しいステージを作ろうと思って一生懸命努力しているので、最後までご一緒していただけるとうれしいです。」と決意を新たにすると、会場からは拍手。
「最後に歌うこの曲はこの部分が今日に一番ふさわしいと思います。“♪いつかまた会いに来ると”」と口ずさみながら、「本当に戻ってきましたよね。いつかではなく、これからはいつでもどこでもまたみなさんが望んでくださればステージに立てるように努力します。」と締めくくって、最後の曲
『風車<re:wind>』がスタート。今のヒョンジュンの率直な気持ちが込められているこの曲を噛みしめながら歌い、最後はアウトロに乗せて、「今日来てくれたファンのみなさん、本当にありがとうございました。僕も今日本当に楽しかったです。これからもみなさんと一緒に楽しんでいきたいです。そして、良い音楽をみなさんにたくさん、届けられるように頑張ります。ずっと一緒にいてください。
今日は本当にありがとうございました!」と言ってステージを後にした。
すぐにキム・ヒョンジュンコールが起こると、先ほどのヒョンジュンの言葉でファンの期待も膨らむアンコールがスタート。
まずは『Good-Bye』で盛り上げ、『Let’s Party』まで2曲を歌い終えると、「ありがとうございました。」と帰るそぶりを見せたヒョンジュンだったが再びステージ中央へ。そして「思いっきり遊びましょう!」の声で始まったのは『U』。『「風車<re:wind>」発売記念トーク・イベント』の時にはツアーで歌う予定はないと言っていた楽曲だったが、ファンからのリクエストに応えて、披露してくれたようだ。
そして、『Do You Like That』~『Lucky Guy』という盛り上がり必至のセットでは、客席に降り立ち、会場中を駆け回るヒョンジュン。
「ありがとうございました!」と高らかに声をあげてステージを後にしようとするヒョンジュンだったが、会場のアンコールを望む声の勢いに打たれ、「もう1曲?本当に?」と言って、本当はここで終わりのはずが、何ともう1曲披露してくれることに。
その上、SS501の曲『Love Like This』というファンにはたまらない選曲と時折見せるダンスに会場の誰もが生き生きとした表情で最高潮の盛り上がりを見せた。
大きな拍手の中、「ありがとうございました!お疲れ様でした、じゃあ、また!」と挨拶すると、ステージを後にした。
最後はエンドロールが流され、本日のステージは終了。その後は、会場ロビーに列が作られ、お見送り会も行われた。
1ヶ月半に渡るツアーの中盤に差し掛かり、バンドともファンとも息ピッタリで、2年のブランクを全く感じさせなかった全28曲、約3時間のステージ。
歌はもちろん、独特の世界観で繰り広げられるトークもキム・ヒョンジュンのコンサートの大きな魅力の1つだが、トークに関してはさらに磨きがかかっていたように感じた。
以前にも増してファンとのやりとりもざっくばらんで距離が縮まっているように見えたし、時折見せてくれたダンスでのファンの盛り上がりを見ると、キレキレのダンスを観たい、という期待も感じられた。
途中、ニューアルバムの話も出ていたが、今後どんな新しい姿を見せてくれるのか、今から待ち遠しくなる公演だった。