『猟奇的な彼女』、『ラブストーリー』、『僕の彼女はサイボーグ』などのヒット作で知られるクァク・ジェヨン監督最新作『風の色』が、いよいよ2018年1月26日(金)よりTOHOシネマズ 日本橋他、全国公開となります。
この作品は、流氷の北海道・知床と桜舞い散る東京を舞台に、クァク・ジェヨン監督の下、日韓スタッフが総力を結集した”究極の愛の物語”。時空を超えた2組の男女が、想的かつミステリアスで壮大なドラマを繰り広げます。
主演は、ドラマ「イタズラな Kiss~Love in TOKYO」やNHK朝の連続テレビ小説「べっぴんさん」で日本全国はもとよりアジア全域で人気爆発中、ドラマ「重要参考人探偵」や映画『曇天に笑う』の古川雄輝、ヒロインには約1万人のオーディションから選ばれたシンデレラ・ガール藤井武美。このフレッシュな2人に加え、竹中直人、袴田吉彦、小市慢太郎、中田喜子といった実力派・ベテラン俳優が脇を固めています。
完成披露試写会のために来日したクァク・ジェヨン監督の韓流Mpost独占インタビューをお届けします!
―5年前に北海道を訪れ、その思いを入れて3年前に脚本を書いたとお聞きしましたが、北海道でどういうインスピレーションを感じこの脚本ができたのですか?
実は北海道に初めて行ったのは、5年よりもっと前だったんです。2002年に初めて北海道に行きましたから、もうかれこれ15年前ですよね。その時からいつかここで映画を撮りたいなと思っていました。そして、『僕の彼女はサイボーグ』の撮影が終わってから、北海道に旅行に行って、具体的に構想を練るようになりました。映画を撮りたいという思いが、本当にありましたので、そのシナリオを書くために、札幌に1ヶ月滞在して、札幌を観て回ったり小樽にも行ったりしながらシナリオを書きました。その後、漫画も作り、その後映画を作るというプロセスがありました。
―2002年に北海道に行ったのはなぜですか?
『ゆうばり国際ファンタスティック映画祭』のために行きました。『猟奇的な彼女』の上映があったので行ったんですが、その時初めて行った北海道がとても印象的でした。白い雪を背景に列車が走っていたんですが、駅に着いたら、夕張の人たちが温かく歓迎してくれました。そして映画祭の間もずっと雪が降っていました。映画祭が終わってまた列車に乗って帰る時に、夕張のみなさんが涙を流して見送って、手を振ってくださったので、その時にすごく気持ちがじんと熱くなりました。
―『風の色』のモチーフとなっているドッペルゲンガー。「もし、別の次元にこの世界とまったく同じ世界が存在し、そこに自分とまったく同じ人間が生きているとしたら。」と想像するだけで興味をそそられますが、どこからこの発想が生まれたのでしょうか?
今までドッペルゲンガーをモチーフとした作品はたくさん作られてきたと思うんですが、ほとんどが暗い内容だったり、怖い映画になっていたり、ドッペルゲンガーの悪いところが、際立っているような、そんな作品が多かった気がするんです。でも北海道のイメージとドッペルゲンガーを繋げた時に出来上がるイメージは、そういうものではなく、とってもきれいで、愛らしくて、でもどこかに悲しみを秘めているような、そんなストーリーになるんじゃないかな、と考えたので、その方向で、色々と物語を組み立てていきました。ですから、同じドッペルゲンガーでも、今回の映画の中のドッペルゲンガーはすごく愛らしいものになっていると思います。
―マジックを取り入れたことによって作品にフックがかかっていると思いますが、普段からマジックに興味があっったんですか?モチーフの一つに入れた理由は?
昔からマジックを自分でもやりたいな、と思っていたんですが、マジックを身に着けるためには練習もかなり必要ですし、もともとマジックに向いている体を持っている人がいると思うんですけど、私の場合には、なかなかうまくできなかったんです。マジックが苦手だったので、私にとってマジックは、ロマンであり、夢だったんですね。だから、普段中々それを叶えられなかったのが、今回映画の中で使った理由の一つでもあるんですけど、北海道とドッペルゲンガーを結びつけた時に、ミステリアスな要素も出てくると思いましたので、まさに神秘的なマジックを入れることで、より楽しい
映画になるんじゃないかと思いました。映画というのは夢を叶えるものでもありますよね。ですから、私自身ができなかったマジックを映画の中でやってみて、経験したということになります。
―マジックの練習をしていたんですか?
はい、したことがあります。
(ここで、簡単なコインマジックを披露すると)シナリオを書きながら、自分なりに練習もしてみました。
―監督の作品に出演された方は、『猟奇的な彼女』では、チョン・ジヒョンさんやチャ・テヒョンさん、『ラブストーリー』では、ソン・イェジンさん、チョ・スンウさん、チョ・インソンさんとトップスターになっている方ばかりですが、今回『風の色』の主演女優をオーディションで選ぼうとした理由は?そして、古川雄輝さん、藤井武美さんを起用したポイントはどこですか?
私は、これまで活動していてイメージが大体わかっている俳優さんを起用するよりも新しいイメージの俳優さんを使うことによってその人の魅力を引き出すのがとても好きなんです。起用する俳優さんとすごく仲良くなって、普段から観察をしたり、その俳優さんが持っている内面を覗いて、魅力を引き出すことがとても好きなので、新人の俳優さんと一緒にお仕事をしたいな、とよく思うんですね。そして、新人さんとお仕事をすると、そういった魅力とか、素晴らしいところを探すプロセスが味わえるんです。そのプロセスがすごく好きですし、一緒に努力をしていくのもとても重要視しています。
古川さんは、『イタズラなKiss~Love in TOKYO』などに出演されていますが、本当に若い俳優さんですので、きっと色々と一緒にできることもたくさんあるのではないかと思いましたし、彼も新しい魅力をみせてくれるのではないかと思ってお願いしました。今は本当にこの2人を選んでよかったと思います。2人とも十分に自分が持っている実力を発揮してくれたと思いますし、若い頃の美しさ、そして、内面に秘めている愛の形というものもしっかりとこの映画の中で見せてくれたと思います。
―古川さんマジシャン役、はまっていましたよね。
本当に古川さんは手先が器用で、きっとマジシャンになっていたとしても成功していたんじゃないかな、と思えるくらいでした。本当に私は不器用なんですけれども、古川さんは本当に器用です。
―今後日本の俳優で、監督の作品に出て欲しいと思っている俳優さんはいますか?また、韓国で今、一緒に撮ってみたい俳優さんはいますか?
まず、日本の俳優さんは、誰に限らず、本当にたくさんの俳優さんと一緒に仕事をしてみたいな、と思っています。今回『風の色』を一緒に撮った、古川さんと藤井さんとも、もう一度また別の映画でご一緒したいな、という思いがあります。
韓国で撮るとしたら、有名な俳優さんももちろんいいんですが、新しい俳優さんを発掘してみたいな、と思います。
―最近韓国では、アイドルから俳優をして評価されている方がたくさんいますが、その中で注目されている人はいますか?
実はアイドルのことをよく知らないんです。最近は結構アイドルの方たちもすぐに俳優になれたりもするんですが、ちょっと最近の事情がよくわかっていないんですね。でもそういう方たちがいて、映画を通して演技を観ることができれば、これからそういう方たちも観察していきたいな、と思います。
―最近監督が見た中でお勧めの映画はありますか?
『ヴィンセントが教えてくれたこと』という映画も良かったですし、あと最近『ウィンド・リバー』という作品も観たんですけれども、こちらもすごく面白かったです。
―日本・韓国・中国で作品を作っていらっしゃいますが、それぞれ国の違いで面白いな、と感じたことはありますか?
それぞれの国での違いというものは面白いものでもあるんですが、それと同時に大変なことでもあります。韓国でやっていたようなやり方を違う国でやろうとしてもなかなかその通りにはできないということがよくあります。日本で『僕の彼女はサイボーグ』を撮った時にも、やはり韓国での撮り方とは違いましたし、中国で撮ると、またもっと違うんですね。違う撮り方で撮るので、楽しいことも多いんですが、他の国で撮る時には、今までのやり方ではなくて、新しく学ぶんだという姿勢で撮らなければいけないな、と思っています。
ちょっと面白い話があるんですが、日本である作品を撮っていた時に、橋を撮らなければいけなかったんですね。それを撮る時に、撮影許可を申し込んだら、橋の半分は雨を降らせることができる、半分は雨を降らせてはいけない、って言われたんです。ちょっと雨を降らせたかったんですが、なぜかというと、その橋を管理している区域が違うので、半分は「雨を降らせていいですよ」、もう半分は「雨を降らせてはダメ」と言われたので、私はその橋を“半分だけ雨が降る橋”と呼んでいました。これは一つの例なんですが、それくらい日本は撮影をするということに関しては、敏感で、撮影許可を取るのがすごく大変ですね。
―撮影秘話など、『風の色』のとっておきのエピソードがあったら教えてください。
今回コンテがなかったんです。コンテを作らずに映画を撮るっというのを今回経験しました。あと撮影の時、カメラ何台かを使って撮ったんですが、私が一部撮影したところもありました。あとは列車の内部は一日で全部撮り切ってしまったり。そういったことをみなさんに知ってもらえればうれしいです。
―『風の色』は、韓国・中国でも公開されると思いますが、これから観る方にメッセージをお願いします。
この映画は韓国、中国、日本に限らず、アジアの映画だと思っています。ですから、多くの方に観ていただいて、共感してもらえたらうれしいです。舞台挨拶の時にも言ったんですけど、この映画はスクリーンを通して、みなさんを美しい北海道の風景の中に案内してくれると思いますし、美しい愛の物語の中に案内してくれると思いますので、肩の力を抜いて気楽な気持ちで観てもらえればと思います。