この度、映画好きのための月額動画配信サービス「WATCHA(ウォッチャ)」のオリジナルショートフィルムプロジェクト『UNFRAMED/アンフレームド』の制作発表会がオンラインにて開催されました。
オープニングでは、俳優というフレームを超えて新たな可能性を探る4人のアーティスト、パク・ジョンミン、ソン・ソック、チェ・ヒソ、イ・ジェフンが本プロジェクトに参加した想いを語り、直接メガホンを取って演出を手掛ける彼らの様子を収めたティーザー予告編を上映。
◆『UNFRAMED/アンフレームド』プロジェクトに参加した理由・経緯
今回配信される4作品は、今年10月に行われた釜山国映画祭でワールドプレミア上映された。いち早くみた観客からの反響が大きかったと聞き、パク・ジョンミンは「今、初めて聞いて驚いています」、ソン・ソックは「上映会の雰囲気がすごくよかった。個人的に予想していたよりも良く、観客がこういう場面を面白がるんだと発見もあった」と嬉しい驚きを隠せない様子。イ・ジェフンは「釜山国際映画祭は俳優にとっても夢の舞台で、そこに監督として参加できたのは名誉だと思います。このうえない機会だった」と振り返りました。チェ・ヒソは関係者試写を実施した際に「自分の作品を観るときには心臓が飛び出るかと思った。私が監督しなければこの世に出ていなかった作品だと思うと、俳優として参加した時とはまったく違う、いい緊張感があった」と感慨深げに語り、最近、関係者試写を観たイ・ジェフンは「本当に緊張した。僕がオファーして出てくれた俳優たちにも誇りに思えるいい作品になったのかなと思います。このような場を設けていただき視聴者の方に挨拶できて嬉しい」と喜びを述べた。
◆お互いの作品を視聴した感想
パク・ジョンミン⇒ソン・ソック監督『再放送』
「心地よい話題が続く作品だと思います。主演・助演ともに素晴らしい演技をしています。この作品を作られた監督はとても素晴らしい。観ていて気分がよかったです。よもすれば重い感じになってしまう物語だとは思うのですが、ユーモアで繋げていく、今後も期待できる。驚きの映画でした。」と絶賛。
ソン・ソック⇒チェ・ヒソ監督『バンディー蛍の娘』
具体的な話はネタバレになってしまうのでできない、と前置きした上で「僕が観た感想は、子供から見たらこうなんだ、という視点で描かれている部分がいいと思います。パク・ソイの演技を見ること自体が癒しのようなフィーリングを感じました。」と高い評価を受ける子役のパク・ソイに言及。
チェ・ヒソ⇒イ・ジェフン監督『ブルーハピネス』
「今20代30代の青春を送っている人に共感を生む映画だと思います。私は3回観たのですが、見れば見るほどとてもしっくりくる作品で俳優チョン・ヘインの苦悩や悩みを表す表情が印象的でした。」と繰り返し視聴し作品の魅力にはまった様子を語った。
イ・ジェフン⇒パク・ジョンミン監督『学級委員長選挙』
「ヒップホップ!面白くてリズミカルな作品」と特徴的な劇中音楽に触れ、「4作品の中で一番楽しくて面白いと思います。小学生の学級委員選挙を通して、現代社会を生きる人を描いた作品ですね」と述べ、司会から「まるで監督したような紹介ですね」との言葉にパク・ジョンミンから感謝の言葉が。
◆プロジェクト名にかけて、各作品3つの提示されたキーワードを用いて内容を深掘り紹介
『学級委員長選挙』(パク・ジョンミン監督) #小学生 #ノアール #マミソン(韓国のラッパー)
3つのキーワードを見たパク・ジョンミンからは「小学生の映画を作りたかったのは事実です。軽快な音楽を入れたいと思いました。ただノアールというジャンルを目指して制作をしてはいないのですが、結果的に出来上がった作品を見ると明るくはないかな、と思います。観る人によってはそう感じたかもしれません。子供たちの世界を通して大人たちの世界を描く、という点は意識しました。教室の中の話だけではなく、実施の大人の社会でも繰り広げられている話だ、と」と述べた。
子供たちの演出については「映画制作の噂で聞いたのですが、子供と動物の演出は難しいそうです。元々、小学生の教室が書きたかったので、アイデアとして50歳くらいの大人たちに小学生の衣装を着せて子供の気持ちを代弁する、なんてアイデアもありました。ファン・ジョンミンさんにお願いしてみようかまで考えました。結局、子供たちに実際に演じてもらうことになりましたが。主要キャラクターはもちろん、クラスメイトの子供達もみんなが参加すること自体を楽しんでくれたと思います。彼らのエネルギーによって、僕も撮影ができたと感じています。」と。
マミソン(韓国のラッパー/ピンクのゴム手袋・目出し帽が印象的)が劇中音楽を担当したことについて「映画を観た方に子供に対する観念を少し変えたいと思い、純粋ではないこともある、ということを描きたかった。それに対してどういう音楽が合うのかを考えて、ビート感やリズム感がある、ある種の肯定を崩す音楽が必要でした。シナリオを修正する過程で悩んでいたのですが、そんな時にラジオからイ・ヨンジさんのラップが流れてきて、何かがはじけて、マミソンいうミュージシャンを訪ねることになった。ここからシナリオ修正に拍車がかかったんです。音楽監督がマミソンと聞いて子供たちは大喜びでした。」と経緯を話した。司会から以前映画でヒップホップ(ラップ)を愛する青年を演じていたこと(『サンセット・イン・ホームタウン』)に触れられ、思わず苦笑する場面も。
『再放送』(ソン・ソック監督) #結婚式場 #ごたごた #ロードムービー
物語の着想について聞かれたソン・ソックは「ある結婚式場でおばとおいだな、という二人を見ました。親族や知り合いの結婚式なのか、そうでないのかはわからないけど、どこか疎外感を感じているようで、ぼーっと立っている様子が気になったんです。その二人が本当にそういう関係かはわかりません。ただその二人をみて、何か関係性をテーマに作品ができないかと思ったんです」と日常生活の些細な場面からシナリオに繋がったことを明かした。
俳優の演技があまりにもリアルで本当のおばとおいかと思った、との司会の言葉に「本当に演技がうますぎて。元々リアルな演技をする人とは知っていましたが驚きました。演技の上手い俳優に会うと、監督はその俳優に恋してしまいますね」と振り返った。
ロードムービーというキーワードについて「おばの家から結婚式場に行く、その過程でたくさんのシチュエーションを盛り込みたかったんです。いろんな予算の制限もあり、最初は心配もたくさんありました。ただいろんな場面を盛り込みたいと僕は思っていたので」とのこと。また母と子の会話劇には自分と母親の話を参考にしリアルに描いたそう。司会が「登場人物が近所にいそうな人ばかりだった」と感想を述べると、ソン・ソックは「まさにそういうことを表現したかったので演技のうまい人を探しました」とキャスティングへのこだわりをのぞかせた。
『バンディー蛍の娘』(チェ・ヒソ監督) #シングルマザー #親友 #秘密の話
チェ・ヒソは自らの監督作に母親役として出演した。「3年くらい前に書いていたシナリオです。引き出しの中にしまっていて今回はこれを制作しなければと思いました。」と語り、子役パク・ソイとの再共演について「以前、「ただ、悪より救いたまえ」で同じように母娘役で共演しており、この作品を作るのであればパク・ソイとやるべきと思いました。彼女が持つ可能性を感じることができました。またタイでの撮影があったので、海外の地で俳優・スタッフともいっそう親しくなれたと思います。」と信頼した様子を見せた。また「シングルマザーの話は商業映画としては扱いにくいんですよね、商業映画は派手なアクションなど刺激的な映画の方が向いています。ただ、シングルマザーの役を2回連続で演じる機会があり、この関係性をもう少し掘り下げた物語があってもいいな、それは私が書くべき、と思いました。」とシナリオへの自負を語りました。
ソン・ソックと共に以前からシナリオを書いていたというチェ・ヒソ。「私はそんなに書いていなかったですが、ソンさんはたくさんかいていたと思います。去年は会合がありましたね。元はソンさんと知り合いの監督と私と3人でした」と明かすと、ソン・ソックは「10年くらい前にはじめたと思います。最初はチェ・ヒソさん主演で短編映画を撮ろうと思って準備したけど当時は実現しなかった。それが演出に関するトラウマになりましたね。ぜひ出てほしかった。」
秘密の話というキーワードについてはネタバレを配慮しつつ「映画を観て、初めてこの秘密がわかるようになっています。」と述べ「あるもの・ひとの不在(この世からなくなってしまうもの)を子供にどう説明するか、言葉では話せなかったことをどう伝えるか、を描いています。吃音もある子供の言葉には言葉以外の意味が込められている。また子供の視線、というものを見せたかったんです」と作品への想いを語りました。
『ブルーハピネス』(イ・ジェフン監督) #現実青春 #就活生 #夢
キーワードを見たイ・ジェフンは「本作を代弁したキーワードそのもの」と納得した様子。「プロジェクトを始めて演出するようになったので、シナリオをどういう話をしようか、と考えました。いまを生きている人たちが何にハマり、何に熱くなっているのか、という単語をたくさん並べて、そこから物語を組み立てました。短編映画なので、膨らみすぎないように青春というものを書いてみようと思いました。そうして考えた内容が今の若い人たちに共感できる内容であればよりいいですね。」と語った。主役にキャスティングしたチョン・ヘインについては「誰に頼めば、青春の苦悩を代弁できるのかと考えた時、チョン・ヘインしかいないと思いました。彼ならこういう顔をするだろう、こう悩むんだろうとキャスティングを受けてくれるか未知数だったけど、頭の中では彼を想定してシナリオを書いていたんです。シナリオを送った後にチョン・ヘインが受けてくれました。監督にとってキャスティングはとってもドキドキしますね。断られるか、受けてくれるか。本来ならば断られるという苦い経験もするべきでしょうが、今回は僕がお願いした人たちで思った通りのキャスティングできました。運がよかったですね」と監督としての苦労を話してくれた。
ちなみにキャスティングが決まった時点でプロデューサーにすぐ連絡するか?という問いには、イ・ジェフン、ソン・ソックはすぐ連絡を取るとのこと。ソン・ソックは「キャスティングをお願いして待つ時間はとても長く感じた」と言い、チェ・ヒソは「大事な配役だけど出番はワンシーンだけ、という俳優にシナリオを渡すときはドキドキしました。返信は翌日にはいただけたので良かった」、全ての配役をオーディションで決めたパク・ジョンミンは「僕は待つ感覚は無かったかも」と振り返った。
青春というキーワードについて「夢を追っている人たちは、挫折や努力してはいるけど夢が叶えられない現実を受け入れるのは中々難しい。そんな時、友人や知り合いに貰うアドバイスや声かけで変わってくる。そういう経験をした人に共感してほしい。」と語った。
◆監督する上での苦労やメイキングについて
(パク・ジョンミンに対し)出演した27名の子役俳優を全員自分でキャスティングし、キャラクターの名前まで付けたと聞きました。
まず子供たち27人が必要でした。オーディションではなくて子供たちとミーティングを行いました。ひとつのクラスの子供たちなので、名前も役割もなくただ座って過ごすというのは避けたかったのです。そのためクラスメイト全員に自分の中学・高校の同級生の名前から役名をつけ、性格を与えてクラスの中での友達関係なども指導しました。僕の同級生が観たらびっくりすると思います。ひとりひとりがこの映画に対する責任感を持って参加してほしい、そういう現場にしたい、と。そういうことをしなくてもいいのかもしれませんが、責任感と自負を感じて欲しかったのです。
(ソン・ソックに対し)現場での情熱が写真からも感じられます。現場で完全に飛び回ったと思うのですが、話を聞かせてください。
あちこち走り回って、本当に楽しくって、本当に面白かったです。はじめて監督を経験したので俳優たちに迷惑がかからないように、また俳優が僕を助けてくれる思いで一生懸命動き回るしかないんです。一つだけ「リアル」ということに演出に気を使いました。真実を伝えたかった。俳優のリアルな演技を拾いたいと思いました。過去に1回、途中で演出を投げ出したトラウマがあったので、今回だけは絶対に完成させたい気持ちが大きかったです。
(チェ・ヒソに対し)4人の監督の中で唯一、チェ・ヒソ監督は演出と演技を並行していました。演出も兼ねての経験はどうでしたか。
不思議な感覚でした。今になって考えるといい選択だったと思います。キャスティングするにあたって、子役のパク・ソイと親密な関係性を醸し出せる母親役を探す時間がなく、(以前に母子役で共演していたので)その雰囲気を出すには自分が母親として出演した方が良いと思ったんです(チェ・ヒソもパク・ソイも別作品と並行して本作の制作に挑んでいた)。どちらかというと演技は半分諦めて、演出に力を入れた気がしています。どちらも同時に一生懸命にはなれないので、あまり欲張らないという選択がかえって良かったのではないでしょうか。ただ編集していくと自分の演技を見ると他のカットが欲しくなり、探しても「ないです」とスタッフから報告されることもありました。ファーストテイクが全てでしたね。俳優としてはもう一度やりたい、という人も多いですが、監督をすると中々言えませんね。
(イ・ジェフンに対し)主役のチョン・ヘインはシナリオを受け取って快諾した後、イ・ジェフン監督に長文のメッセージを送ったそうですが、どんな内容でしたか。
チョン・ヘインがシナリオを読んで「今を生きる人たちに、寂しくはあるけど人々の共感を得ることができる物語ではないか」と言ってくれました。いろいろな角度から彼の演技を作品に込めたい欲があり、さらに掘り下げて深く探究してみたい、そういった感情を込められる作品になってほしい、という気持ちがありました。同時に今回出演したほかの俳優たちも、過去に出演した作品とは異なる様子を見せたかったです。演出としては、俳優たちが演技で目立つ作品にしたかったです。
◆私にとって『UNFRAMED/アンフレームド』とは
◆メディア質問1
(パク・ジョンミンに対し)子供と大人の演出で異なる点は?
大人の演出をしたことがないので、どう違うかはわからないのですが…。子供を演出する際には、わかりやすい単語での指示が必要でした。僕が思っていた以上に大人だな、と感じる場面もあり、大人の言葉を理解する力も彼らは持っています。ただ子供なので集中力に欠ける部分もありました。テンションをどう維持してあげるか、説明を加えるかを考えるのは楽しかったです。もし大人を演出する機会があったら違う方法もあるかもしれません。子供たちの演出は楽しかったです。
◆メディア質問2
(ソン・ソックに対し)演出を手掛けた作品と主演した作品が同時期に公開されましたがいかがですか?
まだ映画「ロマンスにかけた恋愛」が上映中なので是非見てくださいね!(韓国では11月24日より公開中)
正直に言いますと、、僕が監督した作品が評価を受ける方がいいですね。主演作品も監督作品も(公開されて嬉しい)気分は同じですけど、監督すると責任感が出てききます。多くの人を僕のテーブルに招待した気分になるんです。両方ともうまくいってほしいと思います。
◆メディア質問3
(チェ・ヒソに対し)演出で気を使ったポイントを教えてください
すべてにおいて気を使いましたが、強いて言えば子供の目線から見たお母さん・太陽の光・木々などの自然ですね。パク・ソイとは多くの話をして、ディレクションというよりは質問をしました。こういう時はどんなふうに思う?思い出の詰まったものはどんなふうに扱う?のように。そういう質問を投げかけることで、彼女が思ったリアルを撮影した感じです。私も演出は初めてなので比べることはできませんが、今回の作品ではパク・ソイの感じる目線で、という点に最も気を使いました。
◆メディア質問4
(イ・ジェフンに対し)青春の物語ですが、監督が自分で経験した内容も入っていますか?
自分の経験というより、映画の中で主人公が変化するきっかけになる経験はしました。視聴してくださる皆さんにとっても共感できるのか気になります。意見があったらぜひ送ってほしいです。(昨年から韓国では株式や仮想通貨がブームになっており、劇中にも登場する点について)お金を稼ぎたい、金持ちになりたい気持ちはもちろんあります。ただ、これでいいのか、と改めて考える作品にしたかったのです。もちろん自分への自戒も含めて。
その後、司会から「先ほどパク・ジョンミンさんが「反省」といったときに反応していましたが、何か反省はありますか?」と投げかけられたイ・ジェフンは「反省ですね、撮影しながらとっても反省しました。演出とは誰もができるものではありません。反省と共に世の監督たちを尊敬します。」とコメントすると、パク・ジョンミンも「この世に悪い監督はいない」と加勢。韓国の映画監督たちに短くメッセージを求められた4人は、演出を経験したためか次のように述べた。
◆韓国の映画監督たちにメッセージ
◆『UNFRAMED/アンフレームド』制作発表会 最後に一言
監督として作品を制作した互いを讃えあう雰囲気が漂い、4人の仲の良さも伝わる終始笑顔の絶えない制作発表会だった。『UNFRAMED/アンフレームド』は韓国では12月8日(水)から、日本では12月22日(水)よりWATCHAにて独占配信開始。
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原題:반장선거/Vote for ‘I don’t know’
監督/脚本:パク・ジョンミン
出演:キム・ダムホ(『キングダム:アシンの物語』)、カン・ジソク(『刑務所のルールブック』)、パク・ヒョウン、パク・スンジュン(『夏時間』)
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原題:재방송/RERUN
監督/脚本:ソン・ソック
出演:イム・ソンジェ(『サンセット・イン・マイ・ホームタウン』)、ビョン・ジュンヒ、オ・ミネ(『Tiny light』)
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原題:반디/Bandi
監督/脚本/出演:チェ・ヒソ
出演:パク・ソイ(『ただ悪から救ってください』)、チョ・ギョンスク(『悪の部屋』)、シン・ヒョンス(『ウラチャチャ!?~男女6人恋のバトル~』)
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原題:블루 해피니스/Blue Happiness
監督/脚本:イ・ジェフン
出演:チョン・ヘイン(『D.P. -脱走兵追跡官-』)、イ・ドンフィ(『エクストリーム・ジョブ』)、キム・ダイェ(『純粋の時代』)、タン・ジュンサン(『愛の不時着』)、ピョ・イェジン(『サム、マイウェイ~恋の一発逆転!~』
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