ソ・ジソブが、映画『ある会社員』のために来日した際に行ったスペシャルインタビューをお届けします!
今回の作品、映画『ある会社員』では、普通のサラリーマンでありながら、実は暗殺者という特殊な役に挑戦したソ・ジソブ。会社員、チ・ヒョンドの苦悩を切なくそして熱く演じた、演技派俳優ソ・ジソブならではの秘話やこの映画に対する思い、共演者などについても語ってくれました。
Q.本作品の出演を決めたいちばんの決め手は?
この作品のシナリオを読んで、5時間くらいですぐに出演を決めました。独特な設定がとても気に入りました。殺人者というと暗いとか、とてもカッコをつけているというのはよくあると思いますが、この作品は、普通の会社員で、仕事だからやらなくてはいけないという設定がとても気に入りました。
Q.主人公を気に入りましたか?
はい、もちろんです。
Q.韓国のインタビューで、キム・ドンジュン演ずるフンに向かって「好きな人に出会って幸せに生きてくれ。仕事ばかりするな」というセリフは、ジソブさん自身が考えられたとのことでしたが、その理由は?また、今、ジソブさんは幸せに生きていらっしゃいますか?
私自身もそうだし、世の中の全ての人がそうだと思うのですが、みんな仕事をしながら生きています。ただ、それは仕事をしたくてするというより、しなくてはいけないということが優先されている気がするので、その言葉を提案しました。私自身も、自分が好きでしたいことをやっていけるように、幸せを感じようと努力中です。何かを上手くすることよりも、まずは自分が楽しめるということが大切だと思うので、何をするにしても楽しみながら幸せを感じられるようにしようと思っています。
Q.クァク・ドウォンさん、イ・ミヨンさん、キム・ドンジュンさんと共演された印象は?
クァク・ドウォンさんは、本作品で初めて共演しました。彼はとても豪快でハッピーウイルスを持っている方なので、彼の周りの人はいつも笑っていて、撮影現場も盛り上がって楽しい雰囲気になりました。
イ・ミヨンさんは、私が若い頃からトップスターで、それにも関わらず、現場が上手く回るように心配りをされて、素晴らしいなぁと思いました。
キム・ドンジュンさんはもちろん歌手ですけど、決してアイドル歌手ということではなくて、あくまでも“俳優”であろうと努力する姿がとてもかわいらしく思えました。
Q.映画の冒頭では、ヒョンドは仕事や会社にとても忠実な人間ですが、仕事に対するスタンスは、ソ・ジソブさんとヒョンドは似ていますか?具体的に似ているところと似ていないところは?
仕事に対するアプローチの方法はヒョンドと似ていると思います。それ以外に似ているところは、家でひとりで料理をして食べることや、ワイシャツにアイロンを当てたりして、ひとりで寂しく暮らしていることですね(笑)。違う点は、僕は決して人を傷つけたりしません(笑)。
Q.ラストシーンでヒョンドがあんなにも多くの人を殺してでも手に入れたかった“普通の生活”には、どんな価値があると思いますか?また、スターであるジソブさんは、普通の生活が難しいと思いますが憧れることはありますか?
普通の生活といっても、それは決して特別なことではないかなと思います。もちろん自分自身は、俳優という職業である限り、たくさん捨てなくてはいけない部分もありますが、自分の中で整理をして諦めてこういうもんだと思っています。俳優であることは、好きでやってます。今の状態をごくごく一般の普通の生活に変えることはできないと思いますが、考え方次第じゃないかなと思いますね。
Q.チ・ヒョンド役を演じるに当たって、普通の会社員なのに実は暗殺者という特殊な役ですが、特に気を付けたところは?
本当の会社員のように見えるように演じました。暗殺者ということで、カッコよく見せるということではなくて、あくまでも仕事に縛られ、自分の仕事にこれでいいのかという懐疑を感じていたり、ちょっと会社を休みたいなぁと思っている、そんな一般の人と同じような会社員に見えればいいなと思いました。
Q.初出演したキム・ドンジュンさんのエピソードなどは?
演技をする上で気になったら、私にどんどん質問してきました。コーチするような立場ではないですが、自分なりにヒントを投げてあげると、彼は全部それをメモしていたんです。そういう姿勢がかわいらしいなと思いました。
Q.ソ・ジソブさんが、もし俳優ではなく一般の会社員だったとしたら、どんな職業に就いていたと思いますか?
私は水泳を11年くらいやっていましたので、水泳に関連する仕事に就いていたんじゃないかなと思います。かつて一緒にやっていた友達も、今は体育の先生や水泳の先生をしていますから、何かしら水泳に関わる仕事をしていたと思います。
Q.これまでも多くのアクションを演じられていますが、今回も特別に2か月くらい練習をされたそうですが、今までのアクションシーンと違った点とどんなトレーニングをされたのですか?
劇中に出てくるアクションは、ロシアの特殊部隊が使っている“システマ”というものです。動作は大きくないのですが、とても簡潔に攻めながら相手に致命傷を与えることができるという、専門家たちが使う技術を要します。2か月くらい練習をしました。この動作はすごく速くて、最初は果たして自分にできるだろうかと思ったくらいです。練習を積んでアクションに臨んだのですが、あまりにも速くてカメラに収めきれなくなり、実際には少しスピードを遅くして撮影しました。今は、全部忘れちゃいましたけどね(笑)。
Q.たくさんの人を殺していくヒョンドというキャラクターを演じていて、精神的にキツイなと思ったことはないですか?撮影中はどのように気分転換されていたのですか?
確かに、作品の中では多くの人を殺していますが、それを演じることは俳優としてある程度鍛錬ができています。人を殺さなくてはいけないということよりも、キャラクターに入り込んでいるので、そこから抜け出すことの方が精神的に大変でした。あくまで実際に殺してしまうわけではないですから。幸いにも、この映画を撮り終わってすぐに次のドラマ撮影が始まったので、次のキャラクターにすぐに移ることができたので良かったです。撮影中は、そのキャラクターに入り込んでいる状態を維持することに気を使っているので、気分転換をすることはありません。
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